聖地巡礼 宗教 なぜ


この本では宗教としての聖地巡礼を起源としてそこからの展開を示している。 今風のタイトルをつけると「聖地巡礼2.0」とか「教養としての聖地巡礼」とかになりそう。出版社は幻冬舎かダイヤモンドあたりで出版かな笑





人間の社会は、一〇〇年もすれば、大半の構成員が入れ替わる程度には流動的である。だからこそ、数百年あるいは千年以上に渡って受け継がれてきた場所は地域や社会のシンボルとして神聖視されるのである。
聖地巡礼と言えば、熱心な信仰者が行う宗教実践のイメージが一般的であろう。それは、強い信念や切実な祈りに突き動かされて行う真剣な行動であり、娯楽としての観光旅行と決定的に異なっていると考えられているのではないか。そして、特に深く宗教に関わっているわけではない多くの日本人にとって、聖地巡礼は自分とは関係のない遠い世界の出来事だと感じられるかもしれない。 なぜか。 3宗教は「アブラハムの宗教」と呼ばれ、言ってしまえば起源が一緒なのです。 聖書の預言者アブラハムの宗教的伝統を受け継いでいるという共通点があります。 その共通点を考えれば、少しは同じ場所に聖地がある不思議さも緩和されるのですが、 それでは聖地にいるのは誰だろうか。京都や奈良へ旅行する際、寺社を回らない人はほとんどいない。あるいは、フランスを旅する人の多くは、カトリック信仰の有無とは関係なく、パリのノートルダム寺院やサクレ・クール寺院を訪れるだろう。聖地は、信仰者だけではなく、観光客も足を踏み入れる場所なのである。 なぜ、外国人が聖地巡礼にハマっているのか。 『巡礼ビジネス ポップカルチャーが観光資源になる時代』(角川新書)の著者でもある奈良県立大学・地域創造学部准教授の岡本健さんに話を聞いた。 「聖地巡礼」の発祥はいつ? そもそも、聖地巡礼という行為の発祥はいつ頃だったのだろう�

関連キーワード北海道大学准教授。1979年生まれ。筑波大学大学院人文社会科学研究科修了。博士(文学)。専攻は宗教学・観光社会学。観光資源や地域振興の観点から注目を集めている「聖地巡礼」を、宗教学の観点から検討・分析する。著書に『聖地と祈りの宗教社会学』(春風社)、『聖地巡礼』(中公新書)、『宗教と社会のフロンティア』(共編著、勁草書房)、『聖地巡礼ツーリズム』(共編著、弘文堂)など。 cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。











聖地「エルサレム」と言えば、学校の教科書やニュースなどで一度はその名を聞いたことがあるでしょう。日本人にとってはあまり馴染みがなく、中東の紛争地域というイメージが強くて、危ない場所という印象を持っている人も多いかもしれません。実はエルサレムは、「イスラム教」「キリスト教」「ユダヤ教」という世界的な3つの宗教の聖地となっており、その歴史は深く、年間多数の聖地巡礼者が訪れる観光地でもあります。今回はそんなエルサレムという街について、歴史や聖地となった背景、観光名所など、様々な角度からわかりやすくお話しします。目次エルサレムは「イスラム教」「キリスト教」「ユダヤ教」の3つの宗教の聖地となっている街です。「聖地」とはその宗教の神に関係が強い(ゆかりがある)神聖な地。その宗教の信者にとっては特別な場所で、聖地を訪問する「巡礼」なども行われます。それではなぜ、異なる3つの宗教の聖地が同じエルサレムなのでしょうか?それは、この3つの宗教が同じルーツを持っていることが影響しています。「イスラム教」「キリスト教」「ユダヤ教」は、重要視する聖典の違いや宗教的な世界観、神や救世主に対する観の違いなどから別々の道を辿りましたが、もともとのルーツは同じ。そのため、それぞれの宗教における「神」は、「アッラー」「ゴッド」「ヤハウェ」など呼称は、言語により呼び方が違うだけで、意味としてはどれも同じ神を示しています。「イスラム教」「キリスト教」「ユダヤ教」の3つの宗教の中で、最も歴史が古いのが「ユダヤ教」。ユダヤ教はエルサレムがあるパレスチナ地方に起こり、歴史的な変遷を辿りながら、その信者たちは世界中に散らばっています。「ユダヤ教を信仰する人」は「ユダヤ人」と呼ばれ、一般的な定義では、人種に関わらずユダヤ教を信仰していれば誰でも「ユダヤ人」。ユダヤ教は、パレスチナ地方に起源を持つ民族が、周辺国からの迫害を受ける歴史の中で、自民族のアイデンティティとして神への信仰や宗教意識を強めた結果として成立したと言われています。一方、キリスト教はイエスという人物の教えを、弟子たちが伝承していったことを起源としています。パレスチナの地に生まれたイエスは、弱者救済や隣人愛、神の国の到来などを説き、当時のユダヤ教指導者を批判しました。この行いに対しユダヤ人の指導者たちは、当時この地を支配していたローマ帝国に対する反逆の罪でイエスを捉え、エルサレム郊外にあるゴルゴタの丘で十字架にはりつけ、彼を処刑してしまいます。最後の晩餐、ユダの裏切り、イエスの処刑と死後の復活などはキリスト教徒でなくてもよく知られたエピソード。イエスの死後、弟子たちの運動によりキリスト教は広がっていきました。イエスの教えはユダヤ教に対する宗教改革のようなもの。ユダヤ教の宗教観といくつかの異なる点はあっても、信仰する神は同じ。つまり、ルーツは同じなのです。また、イスラム教はというと、イエスの死から500年以上経った570年頃に、アラビア半島のメッカで生まれたムハンマドによって開始されます。ムハンマドは自身を神の言葉を預かる預言者であるとし、新たな教義を説いていきます。自身が神の言葉を記したコーランを聖典とし、イスラムの共同体を作って、アラビア半島を支配していきました。ムハンマドが説いた教えは、あくまで神からの啓示という位置付けであり、ムハンマド自身は神から言葉を預かる預言者。そして、この神はユダヤ教、キリスト教における神と同じです。また、この神からの啓示を受ける預言者という立場も、ユダヤ教、キリスト教と同じ考え方で、イスラム教ではムハンマドだけでなく、アブラハムやモーセ、イエスも同じ預言者とされています。エルサレムがユダヤ教の聖地とされるには、宗教的・歴史的な背景があります。まずユダヤ教の聖典である旧約聖書には、アブラハムという人物のエピソードが出てきます。旧約聖書の記述によると、アブラハムは神のお告げに従い自分の幼い息子を生贄に捧げました。これに対し、神はアブラハムの信仰心を認め、カナン(約束の地)を与えた、とされています。photo by 「カナン」とは、エルサレムがある現在のパレスチナ地方を指すと言われています。また、アブラハムが生贄に捧げる際に息子を置いたとされる岩(聖なる岩)がある丘には、紀元前1000年頃に神殿が建設されました。当時パレスチナ地方を治めていたのはイスラエル王国。神殿の名はエルサレム神殿と呼ばれ、ユダヤ人にとって重要な場所となりました。photo by この神殿はイスラエル王国が滅びたことで一度破壊されますが、その後同じ場所に再建されます(第二神殿)。しかしながら、再建された神殿も長くは続かず、その後、地中海地域で覇権を握ったローマ帝国により、再び破壊されることになりました。このローマ帝国の侵攻後、ユダヤ人たちは、ローマ帝国に反乱を企てたことを理由にエルサレムに戻ることは許されず、神殿の再建も許されませんでした。現在では、神殿の外壁が残っており、その一部が「嘆きの壁」と呼ばれ、信仰の中心的な存在となっています。この名称は、中世以降、ユダヤ人たちがこの壁の前に立ち、聖なる都や神殿が失われたことに対して嘆き、復興を祈ることが習慣として行われていることが由来です。このように、エルサレムがユダヤ教における聖地とされる理由には、この地が神に与えられた約束の地であり、かつてユダヤ人の国であったイスラエル王国の都であり、重要な神殿があったことなどがあります。エルサレムがキリスト教の聖地となった由来は、イエスの死が関連しています。新約聖書において、イエスが十字架にはりつけられ、処刑されたゴルゴダの丘は、聖墳墓教会がある場所だと言われており、聖墳墓教会はイエスの死後埋葬され、復活した場所とされています。このことから、エルサレムの聖墳墓教会はキリスト教における聖地とされています。エルサレムがイスラム教の聖地になった由来は、ムハンマドが生前に経験したと言われる昇天体験のエピソードに基づきます。ある時、ムハンマドの前に天使が現れ、天使は彼を住んでいたメッカからエルサレムに運びました。エルサレム神殿に着き、そこにあった岩(アブラハムが息子を生贄に捧げる際に置いた「聖なる岩」)に手を触れたムハンマドはそこから天に昇り、天上でアブラハム、モーセ、イエスなどの預言者、さらに神アッラーに会ったと言われています。一方、ムハンマドによって作られたイスラムの共同体は、ムハンマドの死後も支配を広げ、638年にはエルサレムを占領します。エルサレム占領後、エルサレム神殿があった丘には、聖なる岩を記念して「岩のドーム」が作られ、ムハンマドの昇天体験の地として崇められました。これが、エルサレムがイスラム教の聖地となった理由です。エルサレムは「エルサレム旧市街とその城壁群」という世界遺産の一つ。また、3つの宗教の聖地であることから、毎年多数の聖地巡礼者、観光客が訪れます。日本の旅行会社でもツアーが組まれていることもあり、その気になれば行ける場所と言えるでしょう。気になる治安はというと、宗教の聖地ということもあり、多くの日本人が想像するほどに治安は悪くないと言われています。ただし、地理的には周辺に紛争地域が多い場所であることから、観光で訪れる際には、事前に地域情勢や外務省の注意喚起をしっかりと確認しておく必要があります。現地を観光する際には、宗教の聖地であることから、宗教的な話題には注意が必要。また、昼間は置き引きやスリの危険もあるため、貴重品の管理は徹底しておきましょう。強引な客引き行為や店頭でのトラブルの報告もあるので、迂闊な行動には気をつけましょう。その昔、ユダヤ人がエルサレムを支配していたときに造った神殿の外壁で、現在でも残っている部分が「嘆きの壁」。ユダヤ人は「西の壁」と呼んでいるユダヤ教の聖地です。嘆きの壁で祈りを捧げる場合には、男性は頭を隠すために「帽子(無料レンタル可能)」を被る必要があります。女性はスカーフで顔を隠しましょう。また、肌の露出を避けるようにします。ユダヤ教の方は真剣にお祈りをしているので、観光では邪魔にならない配慮が大切。信者以外にも観光客も多いので、比較的賑やかな観光スポットと言えます。イエスが十字架にかけられたゴルゴタの丘があった場所にあるとされているのが、この「聖墳墓教会」。イエスのお墓もあり、キリスト教の聖地になっています。世界中から訪れる巡礼者や観光客で混み合う場所。お墓は30分から1時間程度並ぶと拝観できるそうです。また、この聖墳墓教会へと続く道のりが「ヴィアドロローサ(悲しみの道)」と呼ばれており、こちらもキリスト教の聖地。イエスが十字架を背負って歩かされたとされている道です。周囲は土産物店があり、今では少し賑やかな道となっています。イスラム教の開祖であるムハンマドが、聖なる岩に触れ昇天したとされる場所に建設されている岩のドーム。イスラム教徒(ムスリム)以外は中へ入ることが許されていないイスラム教の聖地です。中に入れなくても、外観を見ることは可能。金色に輝くドームは美しく、ブルーの美しいタイルも印象的です。また、アル=アクサー・モスクはエルサレムでも有名なモスク。こちらもイスラム教の聖地で、イスラム教徒以外は入ることができません。ただし、岩のドームの隣にあるので、岩のドームと合わせて、外観を眺めてみると良いでしょう。こちらは、エルサレムの「歴史博物館」です。エルサレムの歴史を集めた展示があり、エルサレムの複雑な歴史を学ぶには良い場所でしょう。夜になると「プロジェクションマッピング(ライトアップショー)」があり、視覚的に歴史を学べることで人気になっています。また、あらかじめエルサレムの歴史を少しでも勉強しておけば、より分かりやすくて良いでしょう。塔からの眺めも良いので、歴史に興味がない人でも楽しめます。街の全体的な雰囲気を感じることができるのでおすすめです。photo by 日本でも有名な絵画の一つである「最後の晩餐」。映画やテレビ番組などで取り上げられることも多いので、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?その最後の晩餐が行われた場所が、この「最後の晩餐の部屋」。さぞかし美しいのではと期待して訪れると、少しがっかりするかも知れません。部屋の中に印象的な物はなく、実にさっぱりとしています。とはいえ、世界的に有名な場所なので、訪れておきたい観光スポットです。聖母マリアが祀られている教会です。シンプルな構造ですが、美しいモザイク画などもあって印象的になっています。地下に行くと、象牙などで作られたマリア像が横たわっている姿を見ることができます。イエスが捕まったとされる場所が、この「ゲッセマネの園」。古いオリーブの木々が印象的な場所です。素朴な感じもしますが、新約聖書に登場する場所であり、訪れておきたい観光スポットです。photo by 映画になったことでも知られる「オスカー・シンドラー」の墓。オスカー・シンドラーはナチス・ドイツの強制収容所から多くのユダヤ人を救った実業家であり、学校の授業で学んだことがある人も多いでしょう。映画「シンドラーのリスト」が好きな方には特におすすめです。photo by こちらは、ホロコーストの記念館となっている施設。ホロコーストは、ナチス・ドイツによって多くのユダヤ人が虐殺された事件を指す言葉で、その犠牲者を悼むために建てられました。映像や写真によって、痛ましい歴史を見せつけられます。人類の負の歴史から教訓を得る場所として、一度訪れてみたいところです。エルサレムは3つの宗教の聖地であり、世界の歴史上でも重要な意味を持つ街。世界史の教科書にも何度も登場する場所です。一度は訪れてみたいという人も多いのではないでしょうか?観光で訪れる際には、現地の情勢などを事前にしっかり調べ、細心の注意を払いましょう。エルサレムに訪れ異文化に触れれば、人生で忘れられない体験になるはずです。©Copyright2020
多くの人は聖地を訪れることで、その地域や社会の文化の核心に触れられるという期待を抱いているのではないか。聖地は記憶を留める場所であり、その地に暮らす人々の価値観や世界観を表現し、しばしばアイデンティティの中核となる。 特に若い世代では、必ずしも家に仏壇や神棚があるわけではないし、朝夕それに手を合わせる人となると、ほとんどいないのではないか。そして、神社仏閣や教会を訪れる数少ない機会が観光なのではないだろうか。



なぜエルサレムは3宗教の聖地となったのでしょうか?その歴史を、各宗教の特徴もふまえながら、ひもといてみましょう。 エルサレムとユダヤ教はこうして生まれた 「エルサレム」の語源. こうした問題意識から、本書では、聖地巡礼と観光をセットにして考えてゆく。とはいえ、この言葉の組み合わせは、不思議なものに思われるかもしれない。 信仰と観光が交差する聖地とは何か? 気鋭の宗教学者が読み解く。

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